色素性母斑(母斑細胞母斑)の複合型
色素性母斑,いわゆるほくろは,生下時にはなく生後2ー3年後より徐々に増加してくる.通常は直径6mm以下である.急速な増大はないが,時に中央部の毛嚢が細菌感染をを起こして急に発赤腫張することがあり,悪性化と誤認されることがある.
生下時から存在する先天性色素性母斑は大型のことが多い.時に躯幹や顔面の大部分を占める巨大色素性母斑(剛毛を伴うことが多いので獣皮様母斑ともいう)からメラノーマが発生することがある.その頻度は5ー20%程度といわれている.
青色母斑
一般に鉛筆の芯を刺してできたと訴えるものが多いが,真皮メラノサイトの増生である.青色調を伴っている.極めてまれに悪性青色母斑(メラノーマの一種)が生ずる.
Spitz母斑
小児,若年者に多く,やや紅色調を伴う.急速な増大や,紡錘形の一見異型性を持つようにみえる母斑細胞が表皮真皮境界部で胞巣を作って増生している.慎重な病理組織診断が必要である.

異型性母斑(Dysplastic nevus)
色素性母斑が多発する家系でメラノーマが好発することがあり,またその色素性母斑が通常型より大きいことが多く,かつ辺縁が不規則で,周囲にしみだし様の色素斑を伴うことより,一時その悪性化が過大に恐れられていた.しかし現在では細胞に異型性があるように見えるが生物学的には悪性ではないとされている.ただし,メラノーマを多発する家系では注意を要する.
脂漏性角化症
中高年者の脂漏部位,特に顔面に多発する角化性丘疹,結節である.長年の日光曝露も関連する.発育は遅く,表面が粗造で,黒色の面皰(毛嚢に充満した角質塊)がみられるのが特徴.
基底細胞上皮腫(基底細胞癌)
皮膚癌のひとつで中高年者の日光曝露部,すなわち顔面に好発する真珠様光沢を有する黒色腫瘤である.発育は遅い.増大すると中央部が潰瘍化して陥凹する.周囲に毛細血管拡張を伴うことが多い.局所破壊性は強いが,転移は起こさない.早期に5mm程度はなして切除すればよい.
海綿状血管腫
時に暗紅色を呈した場合鑑別の対象となる.可圧縮性の腫瘤である.急速な増大はない.
アメラノーティックメラノーマ
メラノーマはすべて黒いわけではなく,時に全くメラニン色素を持たないメラノーマもある.皮膚色から紅色の結節で,表面がびらんしていることが多い.肉眼診断が極めて困難で,病理組織診断でもメラニン顆粒が証明できない場合は確定し難いことがある.DOPA染色陽性,電顕でのメラノソームの証明が必要である.
下記の2疾患と誤診されやすい.
毛細血管拡張性肉芽腫(化膿性肉芽腫)
軽微な外傷後,創閉鎖する前に肉芽が隆起してきて,極めて出血しやすいびらん性の腫瘤を形成する.速い場合には2週間程度で隆起してくるが,この速度はメラノーマの増大にしては速すぎる.手掌,足底に好発する.妊婦に生じやすい.
エックリン汗孔腫
足底に好発する皮膚色から紅色の扁平ないしはドーム状隆起する充実性腫瘤.発育速度は遅い.