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光線過敏症

光線過敏症は、普通な方では何でもないような光線曝露で、異常な皮膚症状が生じます。たとえていえば、発熱という症状には、かぜや細菌感染、膠原病など多くの原因があるように、光線過敏症も一つの病気ではなく、多くの原因、機序があります。

光線過敏症には光線に当たらない限りその状態が起こらない狭い意味の光線過敏症と、別の原因の病気が光線に当たることで、誘発されたり悪化したりする広い意味での光線過敏症があります。ここでは前者の光線過敏症について解説します。

光線過敏症には年齢により生じやすい病気があります。

光線過敏症の好発年齢

光線過敏症の好発年齢

小児期

色素性乾皮症:生まれて初めて外出した時に、ほんのちょっとの日光曝露でひどい日焼けをして気づかれます。色素性乾皮症A群の可能性があります。すぐに皮膚科専門医を受診して、紫外線防御法の指導と、診断に必要な検査の進め方を相談して下さい。紫外線防御をしないで何度も日焼けを繰り返していると、しみがどんどん生じ、10-20代で顔など露出部に皮膚癌が出ることがあります。

色素性乾皮症

色素性乾皮症

ひどい日焼けはしないものの、小学生頃までにそばかすがどんどん濃くなって来る場合は、色素性乾皮症バリアントの可能性があります。ただ、単なるそばかすとの区別が見た目だけでは難しく、場合により精密検査が必要になります。そばかすは優性遺伝ですので親子で濃い場合は単なるそばかすで、劣性遺伝の色素性乾皮症の可能性は低くなります。

色素性乾皮症バリアント

色素性乾皮症バリアント

骨髄性プロトポルフィリン症:3-6歳頃から、日に当たるとヒリヒリした灼熱感とともに皮膚が赤く腫れることを繰り返す場合、骨髄性プロトポルフィリン症を疑います。問診に加え、血液検査で赤血球の中のプロトポルフィリン量を調べれば診断がつきます。親、同胞(兄弟姉妹)に同じ病気があることがあります。

骨髄性プロトポルフィリン症

骨髄性プロトポルフィリン症

プロトポルフィリン量が多いと、肝障害を起こすことがありますが、ほとんどの場合ちょっとした注意、例えばヒリヒリしだしたらすぐに屋内に入るということで、普通の生活を送りことができます。ポルフィリン量により、適切な生活指導を致します。紫外線ではなく可視光線に反応しますので、帽子、衣類、手袋での光線防御が有効です。

青年期

多形日光疹:光線過敏症では最も多い病気で、春先の晴れた日に腕まくりをしたときや、海外で強い紫外線を浴びた夕方頃に、粟粒くらいの赤くて痒いブツブツが腕などに出ます。顔に出ることは比較的少ないです。10-30歳代で女性に多い傾向があります。

多形日光疹

多形日光疹

紫外線に当たった皮膚で生じるアレルゲン(実体は不明)に対する湿疹反応です。一般的によく日光あるいは紫外線アレルギーと言われている状態です。大切なことは、紫外線そのものにアレルギー反応を起こすことはあり得ず、紫外線により皮膚内にアレルゲンができ、それにアレルギー反応を起こしているのです。

そのままにしておいても2-3日で自然に治ることも多く、痒みやブツブツがひどいときはステロイドを塗れば早く治ります。しばらくは日焼け止めをつけて外出する方が良いのですが、耐性ができると自然に出にくくなります。

日光蕁麻疹:日光に当たるとすぐに当たった部位が痒く赤くなり、ひどい場合はみみずばれになります。ある日突然このような状態になることがあります。原因となる光線は可視光線が多いのですが、紫外線に敏感になることもあります。光線が当たった皮膚で生じるアレルゲンに対して、即時型アレルギー反応を起こしています。

日光蕁麻疹

日光蕁麻疹

日陰や屋内に入れば30分くらいで自然に消えてしまいます。朝と昼に抗ヒスタミン薬を飲んで予防しますが、強く当たれば出てしまいます。最近、入院の上、どんどん大量のUVAを当てて減感作する方法が開発されています。

多形日光疹と日光蕁麻疹は光線過敏症で最もよく見られるものです.この診断には生じた症状の写真を持参いただくか,あるいは簡単な光線照射テストを行ってからおいで頂くと,診断が容易です.

中年~老年期

薬剤性光線過敏症:この年齢になると色々な内服薬、外用薬を使う機会が増えてきます。

それらの中には光線過敏症を生じさせるものがあります。当然、時代ごとに使われる薬は変わっていきますので、原因となる薬も移り変わりがあります。

最近、よく経験するのはチアジド系の降圧利尿薬が配合された降圧剤による光線過敏型薬疹です。飲み始めてから顔、首、胸のデコルテ部分、手の甲などが何となく日焼けしやすくなったと感じたら、主治医にその旨伝えて違う系統の薬に変えてもらって下さい。

降圧剤による光線過敏型薬疹

降圧剤による光線過敏型薬疹

貼り薬でもケトプロフェンという系統のものは、貼って日に当たると、その部位にぴったり一致して赤く腫れることがあります。日に当たるところには貼らないよう、処方医から注意があったはずですが、家族がもらったものをうっかり使って症状が出る方もいますので、他の人の薬は決して使わないようにして下さい。

詳細はYouTube#9-14をご覧ください.

ケトプロフェン湿布薬による光アレルギー性接触皮膚炎

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